少し前に当店でパイオニアのDATデッキを修理されたお客様から、2台目のご依頼をいただきました。
今回はD-07です。電源を入れてから音が出るまで1時間ほど掛かるということです。また、アナログ入力の際のバランスにも問題があるとのことです。
テープをセットして再生ボタンを押しましたが、トレイリッドの引っ掛かりが見られます。
音は出ませんが、1時間は待てませんので、考えられる不具合箇所の修理を行います。1時間かかるというのは、温度の変化によるものと思われますが、その影響を最も受けるのは電解コンデンサーです。
カバーを開けます。
メカ後部にヘッドの信号を処理するRFユニットがあります。
メカを降ろします。
電解コンデンサーを交換します。
一旦メカを本体に戻します。不具合は解消されました。
メンテナンスを続けます。トレイリッドが引っ掛かるのは、化粧パネルが浮いてフロントパネルと干渉しているからです。
弾性がある強力な接着剤で貼り直しします。このまま一晩放置します。
メカを再度降ろして、カセットインストレーションユニットを切り離します。
普段あまり出番の無いモーターは内部接点の接触不良が起きやすいため、直接電圧を印加し数時間空転させます。
こちらも同様です。
ピンチローラー表面にテカりが見られますので、専用クリーナーで清掃します。
指先のカセット検出スイッチの隙間から接点復活剤を処置します。
メカ裏側です。
メカの動作を検知するロータリーエンコーダーを分解します。
接点がかなり汚れていますので研磨清掃し、専用グリスを塗布します。
翌日です。化粧パネルの接着が完了しました。
リッドはストレスなく開閉するようになりました。
ヘッドホンVOLに酷いガリが発生していますので、VOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
アナログ入力の状態です。左CHのレベルがかなり低くなっています。
バランスVOLの接触不良が原因ですので、先ほどと同様接点復活剤を処置します。
モード別、入出力別の録音再生状況を確認し、修理完了です。