PIONEERのDATデッキ、D-06の修理依頼をいただきました。
カセットが取り出せなくなったということです。
イジェクトを押すと動作が開始しますが、どこかに引っ掛かって途中停止し、閉じる動作に切り替わってしまいます。
ローディングベルト劣化が原因と思いましたが、モータープーリーを指でアシストしても引っ掛かったままビクともしません。
メカを取り出して、インストレーションユニットを点検します。
テープを保護する蓋が開きっぱなしです。それを指で閉めて、先ほどのプーリーを回してやると、カセットを取り出すことができました。
他のテープをセットしてみました。やはり蓋(黄色い部分)は閉まったままです。
通常のカセットは、底面のパネルをスライドさせても蓋は開きません。
閉じ込められていたカセットです。なぜか蓋が開いてしまいます。つまりカセットの故障ということです。いつも思うのですが、DATのカセットは床に落としたら壊れたりと造りがヤワです。
開閉動作を確認します。動作良好です。
今回は、FL管交換とメカのメンテナンスも行います。
FL管が経年劣化により照度が低下しています。FL管の劣化と聞いて一番に思いつくのは、SONYのDTC-ZA5ESとDTC-A8ですが、パイオニアのデッキでは珍しい症状です。
ディスプレイ基板を取り出します。
交換します。このFL管の端子は非常に柔らかく、そのため、20本以上の端子を同時に基板にはめ込むのは容易ではありません。
明るくなりましたね。オーディオ機器は音質も大事ですが、見た目も大事です。
再度メカを降ろし、デッキメカを切り離します。
普段出番の少ないローディングモーターは接触不良が起きやすいため、直接電圧を印加し長時間、モーターのリフレッシュを行います。
こちらのモーターも同様です。
表面にテカりが見られるピンチローラーを専用クリーナーで清掃します。
RFユニットの電解コンデンサーを交換します。
メカを裏返したところです。
ロータリーエンコーダーを分解します。
接点が汚れを清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ヘッドホンVOLにガリが見られますので、VOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、修理完了です。