SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESGの修理です。
5・6年前に巻き戻し不良で一度修理し、快調に動作していたものの、最近になって不調になったということです。
イジェクトを押してもモーター音がするのみです。
カバーを開けました。この機種と333ESGは、必ず点検しなければならないことがあります。
再生基板の裏側です。白く汚れているところは、電解コンデンサーの液漏れが起きている箇所です。
録音基板です。こちらも白く汚れています。いずれも電解コンデンサーの交換が必要です。
まずはメカの整備を行います。カセットホルダーと化粧パネルを切り離します。
ピンチローラーを取り外す前に位置を測定します。わずかに前方寄りになっていますので、シャフト部が緩んでいる可能性があります。
ピンチローラーとアイドラーを取り外します。
硬化しているピンチローラーを交換します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
ユニットを分解します。
液漏れしている電解コンデンサーを交換します。
予想通り、ピンチローラーアームを取り付けるためのシャフトが緩んでいて、簡単に抜けてしまいました。この部分は圧入により組まれていますが、製造時の僅かな部品精度の問題により緩みが発生します。
抜け止め処置を施して差し込みます。
ベルトを交換し組み立てます。
メカフロント部を分解します。
ベルトが切れています。以前交換されたとものと思われますが、なぜか丸ベルトが使用されていました。
この場所には、右にあるような角ベルトを用います。
なぜかというと、プーリーの断面は、V型になっているからです。
プーリーを脱脂し、ベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を清掃します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
元通り組み立てて、本体に戻し動作確認を行います。
液漏れコンデンサーの交換に移ります。フロントパネルを取り外します。
ケーブルが輻輳していますが、スイッチ基板を移動させます。
ヘッドホン基板の電解コンデンサーを交換します。
録音基板です。
交換後です。
再生基板です。
点検調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープパスの点検を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
録音再生状況を確認し、修理完了です。