AKAIのオートリバースデッキ、GX-R60EXの修理依頼をいただきました。
再生しようとするとリバース動作を繰り返すということです。
トレイがグラグラしています。オーナー様のお子様が幼少の時に無理に開こうとして破損したということです。カセットをセットすると開かなくなったりと、かなり状態が悪くなっています。なお、キャプスタンが回転していませんので、モーター故障が疑われます。
フロントパネルの下側が割れています。これは接着補修します。
メカを降ろしました。
ホルダーがグラついていたのは、この支点部のピンが折れていたためです。後ほど処置します。
キャプスタンモーターに直接電圧を加えてみましたが回転しませんので故障確定です。内部の速度調整用の回路に不具合が起きたと思われますので、モーター交換を行います。
接点類の清掃を行います。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
アイドラーの土台部分にひびが入っています。そのため、シャフトの差し込みが緩くなっていますので、接着補修します。
この段階で一度、メカに仮接続して動作確認を行います。しかし、テープ走行はするようになりましたが、ヘッドが上がらないため音が出ません。また、センサーも上がらないため頻繁に途中停止します。
メカ背面を分解していきます。
パーツの破損が見つかりました。カムの回転でヘッドを上下させるためのものです。部品取り機から移植します。
破損しているホルダーも交換します。
硬化しているピンチローラーを交換します。
正常に動作するようになりました。ただし、音が籠っています。
分解するときは気づきませんでしたが、ヘッドの金属製カバーが変形していました。相当な力が加わったようで、修正はできませんでしたので交換を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生レベルを点検したところ、アジマスが大幅に狂っていることがわかりました。音が籠っていたのはこれが原因と思われます。
調整後です。音の籠りは改善されました。フォワード・リバースの両方向で行います。
録再バランス調整を行います。
聴感でのテストやリバース動作を確認し、修理完了です。
