SONY製DATデッキ、DTC-59ESJの修理依頼をいただきました。
3年ほど前に中古動作品として購入されたという機器ですが、
イジェクトボタンを押してもリッドが開きません。内部では微かにモーター音が聞こえます。
カバーを開けて点検を行います。
開閉用のベルトがありません。
ベルトを取り付けて不具合は解消されました。
元々付いていたベルトは、内部で見つかりましたが、ボロボロの状態でした。SONYのここのベルトは比較的長寿命ですが、使用環境の関係かどうかはわかりませんが、稀にこういう状況が見られます。
メカのメンテナンスを行います。
裏返して基板とリールユニットを切り離します。
このメカの一番の弱点は、白黒ギヤを固定している樹脂製留め具です。経年劣化により割れて脱落し、メカが不動となります。このメカは、その予防処置としてネジロック剤(青色の部分です)で固定されていましたが、
ネジロック剤は、固まると粘りが無くなりますので、簡単に外れてしまいます。そこで、鋼製のEリングを代用品として取り付けます。
リールユニットです。
左リールのブレーキパッドが剥がれています。
ブレーキレバーを脱着し、パッドを弾性接着剤で貼り直します。
回転部分にグリスアップします。
このタイプのカセットホルダーは、プラスチック同士が擦れる箇所の摩擦増加により「トレイが勝手に閉まる」という不具合が起こりますので、可動部にグリスアップします。
カセットホルダーを取り外し、
表面が劣化しているピンチローラーは、専用クリーナーS-721Hを処置します。
写真中央はカセットの検出スイッチです。接触不良の起きやすい箇所ですので、接点復活剤を処置します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、修理完了です。