SONYの3ヘッドカセットデッキ、TC-K710Sの修理依頼をいただきました。
長尺テープやメタルテープではテープを痛めることがあるということです。
電源をONにするとモーターの回転音が耳障りです。
一応動作はOKですが、どこに不具合を抱えているのでしょうか。
カバーを開けてメカを取り出します。
このメカはシングルキャプスタンで、バックテンションは調整できません。各部を点検します。
ピンチローラーが劣化していますので、代替品と交換します。
作業中にメカから何かが転がり落ちました。これは消去ヘッドに取り付けられているテープガイドです。消去ヘッドの取り付け部を見てみるとプラスチックが破損していました。
接着補修します。これが不具合の主たる原因だったようです。
異音の解消のため、モーターのシャフト部に注油します。
伸びが見られるベルトを交換します。
メカを元に戻して、120分以上の長尺テープやメタルテープでの走行状況を確認します。異音は無事解消されました。
テープ走行に問題は見られなくなりましたので、テープの速度調整を行おうとしたところ、モーター背面の穴にはドライバーを調整用の差し込んでもそこには何も無いことがわかりました。
サービスマニュアルはありませんので、筐体内のどこで調整するのか探します。メイン基板上に水晶発振器がありましたので、ようやくこの機種はクオーツロックであることがわかりました。フライホイールの後ろ側に付いている小さな基板が回転数を検知し、モーターの回転をコントロールしています。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。