SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K333ESGの修理依頼をいただきました。
15年ほど使用されていなかったということです。
イジェクトボタンを押すと「コトコトコト・・」という音が聞こえますが、リッドが開かないためテープが閉じ込められたままです。
カバーを開けます。
底面です。
ヘッドホン基板に電解コンデンサーの液漏れによる汚れが見られます。録音基板には異状は無いようです。
再生基板を取り外しました。
後部面に液漏れ跡が見られます。
まずはメカの整備を行います。
ピンチローラーとアイドラーを取り外します。
ピンチローラーの状態は良好ですので、研磨清掃し再利用します。
左側ピンチローラーアームを取り付けるシャフトに緩みが見られますので、後ほど修正します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
モーターユニットを分解します。
緩みが見られたシャフトは、引っ張ると簡単に抜けてしまいましたので、抜け出し防止措置を行い圧入します。
基板上の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトに交換し、組み立てます。
メカのフロント部です。ベルトが無くなっています。
モーターユニットを切り離します。溶けたベルトがプーリーに付着していました。
プーリーを清掃し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
元通り組み立てて、動作テストを行います。しかし、かなり動きが重く、ヘッドが上がり切らずに停止してしまいます。
再度メカを降ろして点検します。モータープーリーを取り外すと、そこには、溶けたベルトがべっとりとシャフトに付着していました。軸受け部にまで入り込んでいますので、清掃での対応は難しい状況です。
モーターユニットを取り外し、スペア品と交換します。
今度は大丈夫です。
液漏れコンデンサーの修理を行います。フロントパネルと再生基板を取り外します。
スイッチ基板も取り外すと、ヘッドホン基板が現れます。
交換します。
録音基板です。
再生基板です。
前後に計10ケあります。
交換後です。
調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープパスの点検を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
聴感でのテストを行い、修理完了です。