少し前に当店でDTC-1500ESを修理されたお客さまからのご依頼です。
長期保管品のSONYのDTC-2000ESですが、電源が入りません。
カバーと底板を取り外して電源基板の点検を行いましたが、そもそも100Vが来ていません。ただし、ヒューズ切れではありません。
フロントパネルを取り外し、電源スイッチの基板を取り外すと、スイッチの半田部にクラックが入っていましたので再半田します。
電源が入りました。
しかし、メカがまったく動作しません。また、操作スイッチの接触不良による表示パネルの暴走が発生します。
操作スイッチの交換は後回しにして、まずはメカを降ろして点検します。
メカ底部のMD基板ですが、酷い汚れが見られます。1000μFの電解コンデンサーが液漏れしています。ほかの基板実装型のコンデンサーは交換済みでしたので、前修理者は、まさかこのタイプに液漏れが発生するとは思わなかったのでしょうね。
基板を清掃して電解コンデンサーを交換しましたが回復は叶わず、基板が損傷しているため修理不可となりました。そのことをオーナー様にお伝えすると、ローディング不良のスペア機があるから、ニコイチで修理できないかということで早速機器をお送りいただきました。
お送りいただいたスペア機からMDボードを移植し、操作ボタンの接触不良が発生していないスペア機の筐体にメカを組み込んで動作確認を行います。テープ走行が始まり、音が出ましたが、ノイズ混じりです。
動作状況を確認すると、左側の可動式テープガイドが、所定の位置のギリギリ手前で停止しています。そのためテープパスが乱れてノイズが発生したものと思われます。
メカを降ろします。
このMDボードの電解コンデンサーも基板実装型のタイプはすべて交換済みですが、リード型の1000μFは未交換でしたので交換します。
メカの構成ユニットを分解します。
可動式テープガイドを駆動するリングギヤです。スライド部に塗布されたグリスが固まりかけていて、かなり動きが重くなっています。CRCで古いグリスを拭き取り、新たに注油します。
ゴムベルトも硬化変形していますので交換し、元通り組み立てていきます。
リールユニットを分解し、ブレーキパッドの状態を点検します。問題ありません。
ピンチローラーの状態は良好です。
メカを仮接続して動作確認を行います。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。