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オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

TC-800GL

YAMAHA TC-800GL

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今回は自分用に購入したジャンクデッキ修理の備忘録です。YAMAHAのTC-800GLという2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキです。

これまでまったく縁が無く、今回が初めての取り扱いとなります。

海外の有名デザイナーが設計をしたというインパクトのあるその外観で、発売当時は一大センセーションを巻き起こしました。

私も昔から気になっていたデッキの一台でしたが、デザイン上、置き場所に困ることや、コストパフォーマンス(高価格にも関わらず、2ヘッドシングルキャプスタンであること)の関係から、これまで入手に至ることはありませんでした。ところが、たまたま手ごろな価格で購入する機会に恵まれたため、今回の修理に至りました。

オーディオ好きの方であれば、このデッキの存在はご存知でしょうが、正面からの姿しか見たことが無いという方が多いと思いますので、修理前に詳細をご紹介します。

コンパクトな筐体ですが、思ったよりも重量があります。リッドを開けたところです。

カセットは、指で押し込むと、「カチッ」とロックされますので、その状態でリッドを閉めます。イジェクト時はそのロックが外れる仕組みになっています。

テープセレクターはFeCrのボタンのみ(OFFのときはノーマル・クロム自動切換)、ドルビーはBタイプのみです。

また、当時(1975年頃)はクオーツロックが一般的でなく、機器ごとにテープ速度が微妙に異なっているのが当たり前の時代でしたので、速度を調整するためのピッチコントロールが装備されています。

スライド式VOLは、左に動かすとMAXになるという、まさに個性的な仕様です。

底面です。

その独特なデザイン故、可動式の転倒防止用スタンドが装備されています。

電源と入出力端子です。AC100Vのほか、DC12V(ACアダプタ、乾電池)で駆動します。

乾電池は単2が9本となります。

側面にDC12V端子とヘッドホン、マイク端子があります。

それでは修理に移りますが、問題は、コンパクト機に共通の整備性の悪さです。そのためか、サービスマニュアルには、外装の分解手順などが丁寧に記載されています。

まずはリッドを外します。

裏蓋を外します。左上は電源部、その下はスライドVOL基板、右上はデッキメカ、そしてその上にオーディオ基板が載っています。右下は電池ケースです。配線にはコネクタはほとんど用いられておらず、半田で直付けですので整備性は最悪です。

キャプスタンベルトがありません。と思ったら塩昆布状になって内部に散らばっていました。その状態から、20年以上は保管状態にあったと思われます。

電池ケースは上面のカバーに組み込まれていますので、その端子を切り離します。

6mmの六角ソケットレンチで写真の3か所のストラットバーを取り外します。

これで上面のカバーを外すことができます。

メカ背面のオーディオ基板を取り外すと、心臓部が現れます。中央の三角形の形をしたものがフライホイールを押さえるプレートですので、ベルトを掛けるためにはこれを脱着する必要があります。

プレートを取り外す前に、プレートに取り付けてあるレバーやスイッチ類を取り外します。

これでようやくフライホイールにたどり着きました。

これは、フライホイールの回転を利用して早送り巻き戻し時にリールを駆動するためのアイドラーです。ゴムの状態は非常に良好でしたので、S-721Hで清掃し再利用します。

こちらはフライホイールの回転で再生時に右リールを駆動するためのリールベルトです。上の写真のアイボリー色のプーリーに掛けられていますが、硬化変形していましたので交換します。折長90mmです。

かなり長めのキャプスタンベルトです。内径110mmです。

動作確認を行います。しかし、メカは動くものの、音が出ません。回路図を基に点検を行った結果、オーディオ回路への電源に問題があることがわかりました。

あれこれと2~3時間悩みましたが、ここが原因でした。写真はACコードの差し込み口ですが、端子の下側にリーフスイッチがあるのがわかります。ACコードのソケットを差し込むとそのスイッチがONになり、オーディオ回路に電源が供給される仕組みです。詳しくは分かりませんが、このデッキは、AC100V、DC12V、単二電池9本の3WAY電源仕様となっているため、その切替に関係があるようです。

ところが、そうとは知らず、購入時に電源ケーブルが付属していなかったため、手持ちの社外品の電源ケーブル(写真下)を使用していました。中央部が凹状になっているため、差し込んでもスイッチがONにならず、オーディオ回路に電源が供給されていませんでした。

そこで、写真上のタイプのケーブルを使用したところ、

オーディオ回路に電源が供給されるようになり、ようやく音が出るようになりました。

メーターのランプが切れています。このままでは興覚めですので修理します。

メーターを取り外すと、基板にランプが5ケ取り付けられていて、一番左側のものが切れていました。(中央の2ケは「DOLBY NR」と「RECORD」表示ですがOFF状態のため点灯していません)

ソケットにランプを差し込む構造です。

12Vのムギ球です。5ケすべて交換しました。

ピッチコントロールのスライドバーがセンター位置にあることを確認し、315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。ベルトテンションの関係と思われますが、かなりの狂いです。

調整は、指差ししている入力端子の下の小さな穴にドライバを差し込んで行います。

あとはいつもどおりヘッドアジマスやバランス調整を行い、修理完了です。

しかし、このあとどこに置きましょうか?狭い私の部屋では置き場所に困るのは昔も今も変わりません。

-TC-800GL
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