これまでDATデッキやカセットデッキでお取引いただいた方から、新たなご依頼をいただきました。
TEACの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、C-2Xです。オーナー様がこの機種の倍速録再機能に興味があったということで、ジャンク購入された機器です。トレイの動きが重くて開きづらいため、テープが閉じ込められています。
早速カバーを開けます。ベルトが溶けているのが確認されました。
フロント周りのパーツを分解していきます。
メカを取り出します。
背面から分解していきます。
リールモーターユニットを取り出し、アイドラーゴムを交換します。23*17*2mmです。
カウンターベルトを交換します。折長100mmです。
溶けたベルトが付着していますので、綺麗に清掃し、
新しいベルトを掛けて組み立てます。径80mmです。
メカを本体に組み込んで、動作テストを行います。しかし、再生はOKですが、
録音は、右チャンネルがNGです。左チャンネルも音質が極端に悪い状況です。
サイン波をINPUTに入力し、回路図を見ながら、その信号を追っていきます。ドルビー回路の前後やHX回路の前後に問題がないか点検を進めます。
すると、HX回路の出力で信号不良となっていることがわかりました。点検を進めると、最後段のIC周辺で異状が見られました。
HX基板です。はじめはICの故障と思い、
交換を行いましたが、残念ながら改善は見られませんでした。
そのIC周辺に、オレンジ色のフィルムコンデンサーが4ケあります。ナカミのデッキではかなりの確率で問題となるオレンジキャパシタと同じ種類でしょうか?テスターで測定を行うと、やはり4ケとも異常値が表示されました。
赤いものが交換後のコンデンサーです。
無事治りました。音質も格段に改善が見られました。この記事を読む限り、簡単な修理に見えるかもしれませんが、不具合個所の発見に半日以上要しました。
調整に移ります。テープ速度は2スピードです。向かって左側面に調整用基板があります。
ノーマルスピード、
ハイスピード、それぞれ調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整は、テープポジションごとに行います。
聴感で音質を確認し、必要に応じPB-EQやREC-BIASを調整します。
以上修理完了です。