ナカミチのZX-7の修理依頼をいただきました。
最近入手したものの、動作不良ということです。
再生ボタンを押すと、リールは回転しますが、ヘッドとピンチローラーが上がりません。
カバーと底板を取り外し、
スリップしているモードベルト(径40mm)を交換します。メカは脱着せずに交換可能です。
これでヘッドは上がるようになりましたが、左右ピンチローラーが固着しています。右側はゆっくりと上がってきますが、左側はまったく動きません。
フロントパネルを取り外し、メカを取り出します。先日のZX-9と比べるとDD基板が無い分、脱着は容易です。
メカ背面から分解を進めます。
さらに分解を進め、リールユニットにアクセスします。
左右リールを取り外し、異音防止措置として、シャフト部にグリスアップします。
硬化しているゴムリングを交換します。
検出スイッチの接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。径80mmです。
最も厄介なピンチローラーアーム固着の修理に移ります。カセットホルダー、ヘッドブロックを取り外します。
左右ピンチローラーアームが露出しました。アームの留め具はハメコミ(圧入)になっていますので、脱着が簡単ではありません。
左右ピンチローラーの取り付け位置を測定しておくと組み付け調整が楽になります。左9.0mm、右9.9mmです。
硬化したグリスを柔らかくするために半田ごてで加熱しますので、熱の影響を受ける樹脂製のテープガイドとゴム製のピンチローラーは予め取り外します。
まずはテイクアップ側です。ピンチローラーアームを固定している金属製留め具を、プーラーで取り外します。
加熱して慎重にアーム部を取り外します。古いグリスを除去し、新たにグリスアップして、最初に測定した位置に組み付けます。組み付け時も留め具を加熱しながらはめ込みます。
サプライ側も同様です。組み付けは、最初に測定した位置に合わせます。
ナカミチのこのサイレントメカは、カセットホルダーを組み付けた状態ではミラーカセットを使用することができませんし、そもそも物理的にテープパスの調整ができません。そのため、この時点でテープパスを点検する必要があります。もちろん、この状態ではリールもキャプスタンも回転しませんので、カムギヤやリールを指で動かしながら行います。
メカを本体に組み付け、動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。録音ヘッドについては、フロントパネル上のツマミでランプの点灯を見ながら手動調整します。
キャリブレーションモードにてバイアスとレベル、録音ヘッドアジマス調整を行った後に録再状況を聴感で確認します。
以上修理完了です。