これまで何度か当店をご利用になった方からのご依頼です。
オークションで購入されたという、KENWOOD製2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、KX-880Dです。
テープ走行は正常ですが、音が出ません。INPUTにCDPを接続して録音状態にしても同様ですので、オーディオ回路の電源ラインの故障が疑われます。今までは、この機種の修理は、回路図が入手できないということでお断りしていましたが、今回は、修理の可能性は五分五分という条件でお受けしました。結果として、回路はKX-880Gとほぼ同じであることがわかり、その回路図を基に修理を進めました。
カバーを開けます。オーディオ回路の電源回路は、右写真の辺りです。
テスターを用いて点検を進めます。すると、赤くマーキングしている電解コンデンサーがショートモードで故障していました。さらに点検を進めると、計3ケが同様に故障していました。
この機種は底板を取り外すことができませんので、写真のようにフロントパネルと基板が一体になった状態で分解します。
同時期に製造されたと思われる同じ容量のコンデンサーはすべて交換します(100μF/10V、47μF/10V、470μF/10V)。トランジスタ(FET)が写っていますが、点検の結果、異状がなかったため交換はしませんでした。
音が出ました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。ベルトを使用しないDDですので、ほとんど狂いはありませんでした。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
聴感でのテストを経て、修理完了しました。