SONYの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-KA3ESの修理依頼をいただきました。
半年ほど前から走行不良となったとのことです。
再生ボタンを押すとメカに反応はありますが、リールが回転しません。また、内部から、かすかに「カサカサ・・・」と擦れるような音が聞こえます。
カバーを開けてメカを取り出します。
分解を進めると、アイドラーギヤが破損していることがわかりました。
この機種とダブルカセットの一部に、脆い材質のものが使われていて、経年劣化により破損します。手持ちのパーツと交換します。
内部からの異音は、アース線がフライホイールに触れていたことが原因とわかりました。ベルトが交換されていましたので、その際の取り回しに問題があったようです。
ピンチローラーの表面を研磨し、専用クリーナーで処理して再利用します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
きつめのベルトが用いられていましたので交換します。
モーター基板上の電解コンデンサーを交換します。
メカフロント部を分解します。
プーリーを脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外し手分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープパスを点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
聴感でのテストを経て、修理完了です。