今年の初めごろに当店で修理したTC-K555ESⅡですが、「ヘッドが上がらない不具合が再発した」とのご連絡をいただきました。
前回修理では固着が原因でした。
再生を開始すると、ピンチローラーが上がり切らずキャプスタンに接しないため、リールが早回しになります。点検したところ、ピンチローラーアームなどの可動部には固着はありませんでした。どちらかというと力不足という感じです。
メカを降ろしました。このソレノイドがヘッドとピンチローラーを持ち上げます。黄色い部分がコイルになっていて、電磁力によってそこに差し込まれているシャフトを引っ張り、てこの原理でヘッドとピンチローラーを持ち上げるという仕組みです。
これはこの記事用に撮影したスペアメカの写真ですが、考えられるのは、このソレノイドが、自らの引っ張る力によって固定位置が微妙にズレて、力が弱まりピンチローラーとヘッドが上がり切ることができなくなったということです。
メカを裏返しています。通常、写真の位置の寸法は3.5～3.6ｍｍです。
しかし、今回の機体で測定すると3.8ｍｍほどになっていましたので、調整を行い動作確認を行います。
たった0.2～0.3ｍｍほどの調整でしたが、無事復旧しました。
