SONYのDATデッキ、DTC-59ESの修理依頼をいただきました。
25年ほど保管状態にあり、最近になって使用しようとしたところ故障していたということです。
テープをセットするとローディング動作に移りますが、あと少しというところで止まってしまいます。
カバーを開けます。右写真の中央は、標準のスポンジ製ヘッドクリーナーですが、ヘッドを痛めますので後ほど撤去します。
メカを降ろしました。
裏返して基板とリールユニットを取り外します。
白黒ギヤを固定している樹脂製留め具は、このメカのウィークポイントのひとつです。劣化により割れて今にも脱落しそうになっていますので、スチール製のEリングに置換します。
可動式のテープガイドがスムーズに動くことを確認します。
リールユニットの点検を行います。
先ほどと同様の樹脂製留め具が既に脱落していますので、Eリングを取り付けます。
右側のリールの回転が非常に重くなっています。
グリス硬化が原因ですので、分解してグリスアップします。
ギヤのシャフト部のグリスも硬化していましたので、除去し、揮発性の低いシリコングリスを処置します。
カセットホルダーを切り離します。
標準のヘッドクリーナーを撤去します。スポンジの性状が変質し、ボロボロになっています。
そのため、回転ヘッドの表面が化学反応により侵され表面がザラザラしています。このままではテープを痛めます。悪いことに、ヘッドチップのすぐ近くですので、作業は容易ではありません。
ヘッドチップを破損しないよう、拡大鏡を用いて、研磨剤と爪楊枝などの柔らかい材質のものでヘッド表面のザラツキを除去します。
ピンチローラーは劣化によりプラスチックのように硬化していましたので、ゴムを張り替えたものと交換します。また、留め具は、割れによるトラブルの防止のため、シリコンチューブを代替品として使用します。
カセットホルダーの可動部は、摩擦力の増大による開閉不良の原因となりますので、シリコングリスを処置します。
指先にあるのはカセットの検出スイッチです。接触不良の予防として接点復活剤を処置します。
メカを元に戻して動作確認を行います。
入出力別、モード別の録再状況を確認します。
ヘッドホンVOLにガリが見られますので、VOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
RECVOLも同様です。
以上、修理完了です。