道内の方からのご依頼です。
AKAI製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、GX-73です。20年程保管状態にあったということです。
電源を入れると、「ギー」という大きな音が数秒鳴った後にトレイが勝手に開き、
2秒ほどで勝手に閉まり、その後モーター音が鳴り続けます。
カバーを開けました。
INPUTに信号を入力しましたが、左CHが絶縁状態になっています。VOLの故障です。
メイン基板を取り外します。
端子にテスターを当てて点検を行います。故障していたのは、BALANCE-VOLでした。交換を行います。
メカの整備に移ります。
カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
ホルダーのガイドピンは、折れてしまったため、オーナー様自ら補修されたということです。十分な処置です。
ホルダー内蔵の樹脂製スプリングに変形が見られます。
脱着して加熱整形します。
機能が回復しました。
ピンチローラーアームに固着が見られます。
硬化したピンチローラーを交換します。
ヘッド周りのパーツを分解します。グリスが固まりかけていますので、除去清掃してシリコングリスに置換します。
リールとアイドラーを取り外します。
ゴムリングを交換します。
ゴムリングが接する面を脱脂します。
メカ背面の基板を取り外します。
汚れが酷いキャプスタンベルトは後ほど交換します。
ベルトが面する部分のザラツキを除去します。
ヘッドの上下やトレイ開閉を行うカムモーターユニットです。
伸びたベルトと異音を発していたモーターを交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカを元に戻して動作確認を行います。
左右の入力も問題ありません。
ミラーカセットを用いてテープパスを点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。