SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K333ESAの修理依頼をいただきました。
トレイ開閉はOKですが、再生はヘッドが上がらないためNGです。
カバーを開けてメカを取り出します。
カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
ヘッド表面に鯖が発生しています。
ザラツキが無くなるまで磨きます。
左側のピンチローラーは調整式になっていますので、取り外す前に、元々の位置を測定しておきます。
ピンチローラーアームとアイドラーを取り外しましたが、この時に違和感を覚えました。
何故かというと、ギヤの色が通常のものと異なっていたためです。そして、案の定、ギヤが欠けていました。
かろうじてスペア品はありましたので、交換を行います。欠けている方は半透明なのがわかると思いますが、脆い材質でできています。このギヤは、最終モデルのTC-KA3ESの一部やダブルカセットデッキに用いられているもので、これまで、ESAモデルに使用されているのを見たことはありません。
オーナー様にお聞きしたところ、10年ほど前に一度修理されたとのことでしたので、その時に特別な事情があったと思われますが、今となっては知る由もありません。
ピンチローラーの表面を軽く研磨し、専用クリーナーで清掃します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
モーターユニットを分解します。
基板上の電解コンデンサーは、見たところ一度は交換されているようですが、消耗品ですので交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
続いてメカフロント部を分解します。
左が古いベルトです。これも過去に交換されたようですが、ゴムが劣化しスリップしたため、ヘッドが上がらなくなっていました。
ベルトの掛かるプーリーをアルコール脱脂します。
新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタのスイッチ接点を磨きます。
メカを組み立てます。仮掛けしてあったベルトをモータープーリーに掛け直します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープパスを点検します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。