これまで2回お取り引きいただいた方から、新たなご依頼をいただきました。
Victorのオートリバースデッキ、DD-VR77です。古いミュージックテープを再生後に突然、音が籠ったということです。事前のやり取りで、ヘッドの汚れではないということはわかっています。
動作確認を行います。確かに音が籠っています。また、再生開始時に右側のリール回転がもたつきます。アイドラーのスリップなどが原因と思われます。
リバースのボタンを押すと、早送りになることがあります。スイッチの接触不良が原因ですが、部品は入手できません。ただし、初期症状のようでしたので、ボタンを何度か強く押すと改善されました。
ヘッドアジマスの点検調整を行いましたが、改善が見られません。
ところが、あれこれと操作を行っているうちに、いつの間にか自然に回復してしまいました。回転ヘッドに何か挟まっている等していたのでしょうか?
状況をオーナー様にご報告したところ、この機会にメンテナンスを行うということになりました。
スライドVOLにガリが見られますので、底板を取り外し、隙間から接点復活剤を処置します。
メカを降ろします。
硬化が進行しているアイドラーゴムを交換します。19*15*2mmです。
ピンチローラーをS-721Hでクリーニングします。
モーター基板を取り外します。キャプスタンベルトは表面が劣化し、スベスベになっています。
新しいベルトに交換しました。折長120mmです。
メカを本体に戻して調整に移ります。315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
テストテープを使用してヘッドアジマス(往復とも)調整を行います。
左右同レベルの信号を録音再生し、バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、メンテナンス完了です。