PIONEERの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、T-1100Sの修理依頼をいただきました。
久々に電源を入れてカセットを聴いたところ、段々回転が遅くなり、そのうち止まってしまったということです。
現在では電源すら入りません。
カバーを開けました。ヒューズが切れています。とりあえず交換してみます。
今度は隣のヒューズが切れました。
切れたヒューズを交換し、メカに接続されているケーブルを切り離します。今度は電源が入りましたので、メカに問題があることがわかりました。
PIONEERのデッキのメカを降ろすのは大変です。
キャプスタンモーターのプーリーに、溶けかけたベルトが張り付いて、モーターが回転できない状態になっています。これがヒューズが切れた原因と思われます。つまり、ゴムベルトが加水分解で溶けかけてモータープーリーに張り付き、それでモーターが回転できなくなって電源に負荷が掛かり、ヒューズが切れたという玉突きの故障です。しかし、なぜ、最初に切れていたヒューズと次に切れたヒューズが異なったのかは不明です。
まずは、カムモーターユニットのベルトを交換します。
フニャフニャになったベルトを交換します。73mmと65mmです。
化粧パネルを取り外します。
アイドラーを取り出してゴムリングを交換します。
動作確認を行います。再生はできましたが、早回し状態です。調整もできません。
キャプスタンモーターが故障しています。回転できない状態で電圧が印加され続け、内部回路が故障したと考えられます。
このモーターは故障しやすい印象があります。
電圧(12V)と速度(2400RPM)、回転方向(CCW)の同じ代替モーターと交換します。
プーリーは治具を使って取り外して移植します。
今度は大丈夫です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
オートチューニングを作動させた後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。