Victor製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V631の修理依頼をいただきました。
10年程保管状態にあったということです。
再生可能ですが、超低速でそのうち勝手に停止してしまいます。
なお、この機種特有の「早送り巻き戻し不可」という症状は見られませんでしたが、100%発症しますので、予防措置を行います。
カバーを開けます。
Victorのデッキのメカ脱着するためには、機体を横にしたり縦にしたりと大変です。
予想通り、プラスチックパーツの破損が見られます。右写真中央部のアイボリー色のパーツがひび割れしています。このパーツは、キャプスタンの回転を再生時に右側のリールに伝達するためのもので、割れるとスリップしてリールが上手く回転しなくなります。
メカ背面のモータープレートを取り外します。
キャプスタンベルトは表面が劣化しスベスベです。ベルトがスリップしたのが速度低下の原因と思われます。
右側のフライホイールを取り外します。
先ほどのアイボリー色のパーツは写真のように取り付けられています。
シリコンチューブを代替品として取り付けます。
モーターユニットを取り外します。
左は早送り巻き戻し用のモーター、右はメカの動作を替えるモーターです。ピニオンギヤは健常ですが、いずれ破損します。
代替品に交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
ゴムパーツを専用クリーナーで清掃します。
本体に組み込んで動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。