AIWAの2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、AD-7400です。
30年ほど前に中古購入したものの、ほどなくして故障したため、それ以降保管状態にあったということです。
まったく動きませんが、モーターの音は聞こえます。
カバーを開けてメカを観察します。
キャプスタンベルトやリールベルトが朽ち果てています。おそらくアイドラーゴムも交換が必要な状態と思われます。
フロントパネルや化粧パネルを取り外します。
切れたベルトを除去します。
まずは、背面からメンテナンスします。フライホイールの押さえプレートを取り外します。
フライホイールを取り出して、溶け切れて付着しているベルトカスを除去します。
再生用、早送り巻き戻し用のアイドラーが現れます。これらアイドラーがフライホイールの回転をリールに伝達します。
早送り巻き戻し用のアイドラーユニットを取り出してゴムリングを交換します。
再生用のアイドラーです。ゴムリングを交換します。
この機種では、左右リールにもゴムリングが取り付けられていますので、
リールを分解してゴムリングを交換します。
カウンターベルト2本を取り付けます。
キャプスタンベルトを取り付けて元通り組み立てます。しかし、なぜか巻き戻しが上手く動作しません。メカの動作状況を目視点検すると、わずかにアイドラーがフライホイールから浮いています。ゴムリングのサイズに問題があるのかと、ここから3時間ほど悩みましたが、ようやく原因が判明しました。
指差ししているスプリングが掛かっている爪状のパーツは、アイドラーをフライホイールに押し付けるためのものですが、なぜか右側に傾いていました。少し力を入れると、真っすぐになり傾くことはなくなりました。どこかが引っ掛かっていたと思われますが、斜めになっていたため、アイドラーを完全に押し付けることができなかったようです。
アイドラーユニットを取り付けて動作状況を確認します。アイドラーの可動幅が大きくなりました。
動作は良好になりました。
ピンチローラーアームを脱着して、ゴム表面を軽く研磨し、専用クリーナーで清掃します。
調整に移ります。315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランスに問題はありません。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。