PIONEERの2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、CT-415です。
40年ほど前に新品購入し、当時はよくお使いになっていたということすが、現状は不動です。
再生ボタンを押すと、ヘッドとピンチローラーは上がりますが、リールとキャプスタンが回りません。
カバーとフロントパネルを取り外します。
早送り巻き戻しはギヤ駆動、再生時はアイドラー駆動です。
メカから基板への配線は、コネクタではなく直付けですので、写真のような形で作業します。
ソレノイドを取り外します。取り付け位置にマーキングがされていますので、過去に修理歴があると思われます。
キャプスタンモーターのプレートを取り外します。溶けたベルトがプーリーに付着しています。
まずはキャプスタンベルトとリールベルトの2本を交換します。
溶けたベルトを除去清掃します。
リールベルト径37mm、キャプスタンベルト径65mmです。
ソレノイドはマーキングに合わせ、元の位置に取り付けます。
カウンターベルトも交換します。折長105mmです。
動作テストを行います。しかし、再生が早回し状態です。モーターの故障でしょうか?
315Hzの信号が記録されたテープを再生しているところですが、限界まで調整を行っても10%速い状況です。
モーターを取り外します。以前修理した同型機の写真と比べると、モーターの形式が異なっていることがわかりました。何か事情があって以前にモーター交換が行われたようです。ソレノイドを脱着した形跡があったのもそのためかもしれませんが、その時は正常に再生されていたのでしょうか?
とりあえず回転数を測定します。このモーターでは最も遅く調整しても約2120rpmが限界です。このモーターの規格は2400rpmですので、この状況はモーターの故障とは言えません。しかし、適正なテープ速度にするためには、1900rpm程度に回転数を下げる必要があります。
取り付けられていたのは、EG-530AD-2Bという、標準的なモーターです。元々は、別な規格のモーターが取り付けられていたと思われますが、純正のモーターは入手できませんので、
内部の回転制御回路の調整用半固定抵抗を交換します。元々は100Ωですが、200Ωのものに交換します。
今度はいい感じです。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。メタルテープ使用時のみバランスが狂いますが、調整できませんので録音時は手動で調整することになります。
CDを録音して録再状況を確認し、修理完了です。