TEAC製ダブルオートリバースデッキ、W-850Rの修理依頼をいただきました。
動作確認済みということでメルカリにて購入したものの、実際には動作不良だったということです。
デッキAもBも動作しません。また、デッキBでは常に異音が発生し、トレイも開きません。
カバーを開けます。
デッキBのトレイをロックしているパーツを分解し、トレイを開きます。
メカを取り出して分解を進めます。
リールベルトが溶けてフライホイールに付着していますので、清掃し、新しいリールベルト、キャプスタンベルトを掛けて組み立てます。普通はこれで正常に動作するのですが、今回は意外な落とし穴が待っていました。
メカを本体に戻します。動作はするようになりましたが、「早送りできない」「リバース方向が再生できない」「フォワード方向でのみ音が歪む」など不完全な状況です。特に気になったのは、音が歪むということです。
なぜか左側のリールの動きが非常に重くなっています。これが上記の不具合の原因です。音が歪んでいたのも、バックテンションがあまりにも強すぎていたためと思われます。
このメカは、フライホイールの回転を利用してリールを駆動するシステムです。右写真はリールを取り外したところですが、黒色のギヤがクラッチの摩擦力で白色のギヤを回転させるようになっています。なぜクラッチが組み込まれているかというと、フライホイールは常に同じ一定の速度で回転していますが、リールは、テープの巻き取り量で回転数が異なります。その差を吸収するのがクラッチです。
クラッチの摩擦力を生み出すため、スプリングで黒色のギヤを押さえていますが、そのスプリングを固定するための留め具が割れています。それでスプリングの力が解放されてリールをメカ本体に押さえつける形になり、回転が重くなっていました。
接着剤で貼り付けて一晩待ちます。
(デッキAもまったく同じ状態でしたので、記載は省略します。)
不具合は解消されましたが、本体を傾けるとデッキBから回転部品が擦れる音が鳴ります。
異音の発生箇所は、フライホイールの円形の鉄板を固定しているビスです。ビスの凹側が割れて鉄板がグラグラしていました。接着固定を行います。
動作テストを続けていると、時折音が途切れます。
出力プラグを揺すると顕著です。
バックパネルを取り外し、基板を少し浮かせます。
取り付け部を再半田します。
接触不良は解消されました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
倍速も同様です。デッキBも同様に行います。
ヘッドアジマス調整は往復行います。デッキBも同様です。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認します。
リバース動作などを何度も確認し、修理完了です。