A&Dの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、GX-Z6300EVの修理依頼をいただきました。
長期間保管状態にあったとのことです。
電源が入りません。ヒューズ切れが疑われますが、その場合は過電流が流れた原因を突き止めなければばりません。
カバーを開けます。
予想通りヒューズが切れています。
試しに交換してみましたが、電源ON後に一瞬ディスプレイが点灯したものの、1・2秒後にオレンジ色の明るい光を放ち焼損してしまいました。
メカに接続されているコネクタを切り離すと、電源が入りましたので、メカ本体に問題があることがわかります。
メカを降ろすためには、トレイが開いた状態でフロントパネルを取り外す必要があります。この機種は電動でトレイが開閉しますので、ローディングモーターに直接電圧を印加し、トレイを開けます。
リッドの爪が折れています。
トレイ側も折れています。修復はできませんので、後ほど両面テープで固定します。
フロントパネルを取り外し、メカを取り出します。
写真を撮り忘れましたが、ヒューズ切れは、モーター固着によるものと思われますので、キャプスタンモーターとリールモーターに直接電圧を印加して回転させて数時間放置します。
モーターパネルを取り外します。キャプスタンベルトが劣化してスベスベになっています。
新しいベルトに交換します。径76mmです。この後、メカを組立て本体に組み込み動作確認を行います。
ヒューズ切れは解消されましたが、トレイを閉めても、勝手に開いてしまいます。
電動でトレイを開閉するシステムには、開閉状態を検知するためのスイッチが装備されていますが、破損していました。
交換します。
(自分用の備忘録です。)今度はトレイが完全に閉まり切らなくなりました。あれこれと点検した結果、指差ししている部分(トレイが開くときにオートセレクタ用SWを持ち上げるためのもの)が、すぐ上の灰色のケーブルと干渉していたことが原因でした。
ようやく正常に動作するようになりました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
CDを録音して再生モニターします。
爪の破損により外れやすくなったリッドは、少し厚みのある両面テープで貼り付けます。
修理完了しました。