昨年からお取引いただいているお客様から、新たなご依頼をいただきました。
TEACの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、V-6030Sです。半年ほど前に中古動作品として入手したものの、テープが傷むということです。また、カウンターの動きが遅いという不具合も抱えています。
カバーを開けました。
化粧パネルを取り外してフロントパネル少し前に引き出すと、メカを取り出すことができます。
カセットハウジングの化粧パネルを取り外します。バックテンションベルトが無くなっています。
溶け切れて、下に落ちていました。カウンターの動きが遅い件は、このベルトがリール周りに引っ掛かって、センサーの働きを邪魔していた可能性があります。
アイドラーやリールを取り外します。
メカを前方に倒します。このメカではカムモーターユニットが原因で故障に至る場合がありますので、メンテナンスを行います。
ユニットを取り外します。
汚れたスイッチ接点を磨きます。
固着しやすいモーターを数時間ほど空転させます。こういったギヤ駆動で行ったり来たり回転するモーターは、常に同じ位置で停止しますので、接触不良が起きやすい傾向があります。
リールモーターも同様に空転させます。
モータープレートを取り外してベルトを交換します。少しきつめのものが取り付けられていました。 以前の修理の際に交換されたものと思われます。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
新しいバックテンションベルトを掛けて組み立てます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
カウンターの動きは正常です。やはりベルトが悪さをしていたようです。
同梱いただいた傷んだテープ(AE90)で動作確認をしようとしましたが、テープが糸状になって、枠外に外れていましたので、手持ちの長尺テープ(HF120など)で走行テストを繰り返します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。大幅な狂いは、元々取り付けられていたきつめのベルトが原因と思われます。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。