A&DのGX-Z7100LTDの修理依頼をいただきました。
かなり長期間の保管状態後に不動となったため、DIYでメンテナンスを行ったものの、テープ走行が２～３秒で停止するということです。
トレイ開閉はOKですが、テープ走行を開始しても、すぐに勝手に停止します。
ヘッドとピンチローラーは正規の位置まで上がっていますし、リールも回転していますので、オートストップの誤作動でしょうか？
カバーを開けた瞬間に、原因がわかりました。
人差し指と親指のところのコネクタが逆に挿し込まれています。形状が同じため、組み付け時に間違ってしまったようです。しかし、心配なのは、逆接続による回路の故障です。
コネクタを正常に戻して動作確認を行います。ひとまず大丈夫で安心しました。挿し間違えたコネクタは「オートセレクタスイッチ用」と「回転センサー用」という、負荷の少ないものだったため、回路の故障には至らなかったようです。
今回はメンテナンスもご依頼をいただきましたので、作業を継続します。
メカを降ろして分解を進めます。
カセットホルダーに内蔵のスプリングに変形はありません。
調整式になっている左側のピンチローラーアームを取り外す前に、元々の位置を測定します。組み付け時には元の位置に調整するのが基本ですが、かなり奥側に取り付けられています。この位置ではクロストークが起こりますので、組み付け時に調整を行います。
ピンチローラーを交換します。
ヘッド周りの可動パーツを分解し、古いグリスを拭き取って再グリスします。
リール周りを分解します。
アイドラーゴムを交換します。
ゴムリングが当たる面を脱脂します。
メカ背面の基板を取り外します。
フライホイールにゴムカスの付着はありませんでしたので、軽く清掃します。
カムモーターユニットのベルトを交換します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検・調整し、その後クロストークが起きないことを確認します。
RECVOLにガリが見られますので、VOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。
