DENON製3ヘッドカセットデッキ、DR-F6です。
久しぶりに使用しようとしたところ、故障していたということです。メーカーでは修理不可だったため、当店の出番となりました。
再生はリールが回ったり回らなかったりですが、早送り巻き戻しはまったく動きません。
カバーを開けてメカを覗き込みます。モーターは動きますが、アイドラーがスリップしています。また、キャプスタンが回転する動作音が大きいことが気になります。
基板は2階式で、ヘッドのコネクタは下の基板に取り付けられています。しかし、上の基板が扉のように開きますので、メンテナンス性は悪くありません。
フロントパネルを取り外し、メカを取り出します。メカは正面4か所、底面2か所のビスで固定されています。
このモーターを脱着しなければアイドラー交換はできませんので、支障となる部品を順番に分解しなければなりません。
基板、ソレノイドユニット、フライホイールの順に分解していきます。
ようやくリールユニットにたどり着きました。
カチカチに固まったゴムリングを交換します。16*11*2mmです。
扉の開閉を検知するスイッチ接点を磨きます。
ヘッドとピンチローラーを専用クリーナーで清掃します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。テープ走行は良好になりましたが、やはり動作音が気になります。
フライホイールの辺りから、小さく「ザザザ・・・・」という擦れるような音が鳴り続けます。ただし、電源を切ったときは、少しの間、フライホイーが慣性で回り続けますが、音は即消えますので、電気的なものが関係していることになります。
再度メカを降ろして分解します。写真は、DDモーターのコイルですが、指で示している部分がグラグラしていました。接着が剥がれたため、磁力で振動して異音が発生していたようですので、再接着を行います。
再度メカを組み立てます。嘘のように静かになりました。
調整に移ります。315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度を合わせます。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。