半年ほど前に当店でカセットデッキを修理された方から、新たなご依頼をいただきました。
TEAC製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、V-8000Sです。少し前に入手されたということですが、キャプスタン回転時の異音や、音揺れ・消去不良・バイアスキャリブレーション不良などが見られるということです。
異音は確認できませんでしたが、写真の黒色のキャプスタンワッシャーが、本体またはカセットと干渉していた可能性があります。
カバーとメカ上部のプレートを取り外します。
ドルビーSの基板を浮かせて、ヘッドのコネクタを切り離します。
メカを取り出して化粧パネルを取り外します。
音揺れはバックテンションの問題と思われますので、
ベルトを交換します。
それでも少しバックテンションが弱い状況ですので、
十字型のパーツを回してバックテンションを調整します。
バイアスキャリブレーションが安定することを確認します。
再度メカを降ろします。
カムモーターユニットを取り外します。
酸化して黒ずんでいる接点を磨きます。
カムモーターとリールモーターを無負荷状態にして、直接電圧を印加し数時間ほど空転させます。
モーター基板を脱着してベルトを交換します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
走行条件の厳しいTDKのメタルテープと120分テープを使用し、走行が安定することを確認します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。クオーツロックですので調整できませんが、やや遅くなっています。ギリギリ許容範囲ですが、原因としては、右側キャプスタンの摩耗が考えられます。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
CDPを接続して録再状況を確認し、修理完了です。