SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K777ESⅡの修理依頼をいただきました。
6年ほど前に他店でメンテナンスを受けたという機器ですが、最近トレイ開閉に不具合が生じているとのことです。
テープがセットされていな状態では普通に開きますが、
テープをセットすると、何かに引っ掛かってイジェクトできません。
フロントパネルを取り外して点検を進めます。最初に発見したのは、カセットホルダーの支点部のグリス固着です。ここが固着すると、ホルダーの横方向の動きに余裕が無くなります。しかし、固着部を分解し注油しましたが、直接不具合とは関係は無かったようです。
メカを降ろして何が引っ掛かっているのか点検します。
ヘッドが完全に下がり切っていないことがわかりました。そのため、ヘッド右側のテープガイドがカセットに引っ掛かっていたようです。では、なぜヘッドが下がり切らないのでしょうか?
カセットホルダーを取り外し、メカ背面から分解していきます。その時に何か違和感を覚えました。
非常に分かりにくいかもしれませんが、ヘッドを押し下げるレバーを固定しているビスが緩んでいました。これが原因です。
今回は、メンテナンスも併せて行います。リールユニットの再生用アイドラーゴムを交換します。
リールユニットを分解し、早送り巻き戻し用のアイドラーゴムを交換します。
リールベルトを交換します。
キャプスタンベルトを交換します。
ヘッドが所定の位置まで下がるようになりました。
テープをセットし開閉がスムーズであることを確認します。
本体に組み込んで動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
巻き取りトルクが過大になっていますので調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
録再状況を耳で確認し、修理完了です。