SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-KA5ESの修理依頼をいただきました。
イジェクトボタンを押すと、モーター音は聞こえますがリッドは開きません。
カバーを開けます。
トレイのロックを指で解除すると少し開きますので、リッドを取り外すことができます。
メカを降ろして分解を進めます。
ピンチローラーアームとアイドラーを取り外します。
ゴムの状態は目視では問題ないように見えますが、
硬度計でゴムの硬さを測定すると、かなり硬化していることがわかりました。なお、測定中は両手が塞がっていますので、写真が取れませんのでご容赦ください
ピンチローラーを交換しました。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
モーターユニットを分解します。
モーター基板上の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
続いてメカフロント部です。ベルトが加水分解で溶け切れています。
モーターユニットを取り外します。プーリーに溶けたベルトが付着していました。
オレンジクリーナーで汚れを除去し、新しいベルトを仮掛けします。(組み立て時にモータープーリーに掛け直します)
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
元通りに組み付けて動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。キャプスタンの摩耗が原因でしょうか?わずかに許容範囲外となっていますが、聴感上問題とならないレベルです。なお、クオーツロックのため調整はできません。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
CDPを接続して録再状況を確認し、修理完了です。