SONY製DATデッキ、DTC-A7です。
25年ぶりに動かしたところ、テープが絡まるなどしたということです。
イジェクト操作には反応しますが、開閉時に何かが擦れているような音がします。グリス切れでしょうか?
カバーを開けましたが、驚きの状況が・・・
少し分かりにくいかもしれませんが、基板の一部が割れています。
理由は、インシュレーター取り付けビスに必要以上に長いものが使用されていたことです。この状況は以前も一度経験していますが、なぜこういったことがi一度ならず二度も起こるのかというと、
この機種は、業務用として開発されたモデルですので、ラックマウントパネルを取り付け、専用ラックに固定されて使用されることがほとんどです。そのラックマウントパネルを機器本体に固定するためには、ここに長いビスを使用することが必要です。
しかし、ラックマウントパネルを取り外したときは、取説に記載されているとおり、短いビスに交換しなければなりませんが、なかなかそれに気がつくことは難しく、このような結果に至ります。
肝心の基板が修復可能なのか確認するため脱着します。
裏側です。プリントパターンが複数破断しています。
表側はかなり細いプリントパターンが損傷していて修復は難しそうです。
幸いにもA7の基板の在庫がありましたので換装します。
他の3か所のインシュレーターも同じビスが使用されていて、メカ部にも干渉していました。それで開閉時に異音が発生していたようです。
4か所ともビスを交換します。
出っ張りはほぼ無くなりました。
開閉時の異音は無くなりました。
メカを降ろして裏返します。
基板とリールユニットを取り外します。
可動式テープガイドを駆動する白黒ギヤを固定している樹脂製留め具にひびが入っています。
鋼製のEリングで代用します。
テープガイドの動きに、やや引っ掛かりを感じます。
キャプスタンモーターを取り外してガイドレールをヤスリで削ります。
リールユニットです。
リールが固着しています。
ギヤを脱着し、シャフト部を清掃・再グリスします。
左右リールを分解します。内蔵されているスプリングに塗られたグリスが固まっていましたので、清掃し再グリスします。
バックテンション用のブレーキパッドが剥がれかけていましたので、元々使用されていた両面テープを除去し接着固定します。
カセットホルダーを取り外します。
標準のスポンジ製ヘッドクリーナーは経年により性状が変質しドラムヘッドを侵食しますので撤去します。
その影響で回転ドラム表面が僅かに荒れています。拡大鏡と爪楊枝、研磨剤を用いて表面を滑らかにします。
硬化しているピンチローラーを交換します。
中央部はカセットの検出スイッチです。接触不良が起きやすい箇所ですので、接点復活剤を処置します。
音出しをしましたが、再生音にノイズが乗っています。
疑わしいのは、ヘッドの信号を処理するRFアンプです。
やはり電解コンデンサーに液漏れが生じていました。
基板の一部が液漏れで損傷を受けていましたので、少し特別な方法で修復しました。
ノイズか消え去りました。
入出力別、モード別の録再状況を確認し、修理完了です。