SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESGの修理依頼をいただきました。
トレイが開かないということです。
モーター音は聞こえますが、開きません。
カバーを開けます。
メカを取り出すためにはリッドを外さなければなりません。トレイのロックを指で解除すると少し開きますので、リッドを取り外すことができます。
ESGモデルでは、製造ロットによっては、オーディオ基板上の電解コンデンサーに液漏れが生じますので、まずはその点検を行います。再生基板は問題ありません。
録音基板も綺麗です。
ヘッドホン基板も同様です。
メカの整備に移ります。
背面に見たことの無い配線が取り付けられています。
点検した結果、不要な配線でしたので撤去します。
白色のプーリーに掛けらているはずのベルトがありません。
カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
化粧パネルの裏側に何かが貼り付いています。
バックテンション用のブレーキパッドが剥がれたものでしたので、元通り接着します。
劣化したピンチローラーを交換します。
キャプスタンモーターユニットを切り離します。
サプライ側のフライホイールは、厚みの薄い下位機種用のものです。過去の修理で交換されたと思われますが、今となっては知る由もありません。
※【2023/10/21 追記 / ESGモデルは上位機種も下位機種と同じフライホイールが使用されています。私の勘違いでした。】
モーター基板上の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカフロント部を分解します。
ベルトが溶けてプーリーに絡みついています。
プーリーをアルコール脱脂します。
新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
本体に組み込んで動作確認を行います。
PLAYボタンの感触が「カチ」というのではなく「ヌメ」という感じです。動作には影響ありませんが、操作フィーリングは良くありません。
フロントパネルを取り外し、スイッチ基板を取り出します。
スイッチ自体の問題のようです。
新しいものと交換します。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
アジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
CDPを接続して、テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。