本ブログ初登場のSONY製2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、TC-5350SDです。余談になりますが、輸出仕様はTC-209SDという名称になります。
現状再生不可ですが、オーナー様の思い入れのある機器ということですので、何とか復活させたいと思います。
再生レバーを押しても反応はありませんし、レバーもロックされません。。唯一、巻き戻しのみソレノイドの「ガチャン」という音と共にレバーがロックされ、弱々しくリール回転が始まります。
メーターのランプは切れていませんが、輝度がかなり低下しています。また、左側のメーターが振り切っています。
カバーを開けます。
巨大なモーターです。電源を入れるとフライホイールとリール用のプーリーが回転します。
写真左上にメカを駆動するためのソレノイドがあり、鉄心に連結されたレバーでヘッドの上げ下げやメカの切り替えを行います。
フロント周りを分解します。
ソレノイドとメカを切り離し、少しメカを持ち上げて、下部にあるButton Assyを取り出します。操作レバーとソレノイド、切り替えスイッチが連結されている心臓部です。
親指で押している箇所は操作レバーと繋がる箇所です。正常に作動する巻き戻し部とそれ以外の動きを比べると、可動部が固着していることがわかりましたので、可動部が正常に動作するよう注油します。
ピンチローラーを交換します。
メカを一旦組み立てます。テープ走行が可能になりましたが、2秒ほどで停止します。気がつくと、いつの間にか左CHのメーター振り切りは正常になっていました。
停止してしまうのは、カウンターのプーリーが固着していたのが原因でした。また、ベルトが伸びていましたので、注油するとともにベルトを交換しました。
メーターランプはLED化を行います。とりあえす右側だけ替えてみました。ビフォーアフターの違いが分かるかと思います。
治ったと思っていましたが、やはり動作確認中に時々左CHのメーターが振り切り、大きな雑音が出力されます。(写真は正常な状態です)また、巻き戻しがスリップして不調です。
メーター振り切りの原因は、再生モードと録音モードを切り替える細長いスイッチの接触不良でしたので、接点復活剤を処置します。
巻き戻し不調はベルトスリップが原因でしたので、バンコードと置換します。
またしても再生中に停止してしまいました。
巻き取りトルクが低下しています。
フライホイールを取り外します。
アイドラーゴムを交換します。
適正なトルク値となりました。
テープ速度の点検を行います。若干速くなっていますが、調整はできません。聴感で気がつくか気がつかないかギリギリのところです。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
メーターレベルを合わせます。
録再状況を確認します。かなりハイ上がりのセッティングでしたので、少し再生イコライザと録音バイアスの調整を行い、修理完了です。