AKAIの名機、GX-93の修理依頼をいただきました。
十数年前から不調な状態だったということです。
電源をONにすると、モーター音がけたたましく鳴り続けますが、それ以外は一切動作しません。
カバーを開けました。ヘッドの上下やトレイ開閉を行うモードベルトが切れていました。
メカを取り出して分解を進めます。
ホルダーには、カセットを押さえ付ける樹脂製のスプリングが内蔵されていますが、経年によりヘタリが見られます。
スプリングを脱着して加熱整形します。
ピンチローラーアームに軽い固着が見られます。
硬化しているゴムローラーを交換します。
ヘッド周りを分解し、古いグリスを除去後に再グリスします。
左右リールとアイドラーを取り外します。
バックテンション用のパッドが剥がれていましたので、新しく貼り直します。
アイドラーゴムを交換し、ゴムが接する面を脱脂します。
背面のモーター基板を取り外します。
キャプスタンベルトの当たり面を清掃します。
軸受けの劣化しているカムモーターを交換します。ベルトも新調します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
新しいキャプスタンベルトを掛けて組み付けます。
本体に戻して動作確認を行います。再生はOKですが、
SOURCEの左CH入力がありません。この機種では、過去に何度もVOLの故障を経験していますので、少し焦りましたが、
バランスVOLの接触不良が原因でしたので、接点復活剤を処置することにより改善されました。
ピンチローラーアーム脱着後は、テープパスの調整が必須です。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内に収まっていることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
dbxがOFFとONで録再状況を確認します。
外装を取り付けて、修理完了です。