ナカミチの３ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、582です。
「イジェクトできない」「再生が止まる」などの不具合を抱えているということです。
イジェクトボタンが引っ込んでいます。ナカミチのサイレントメカに多発する故障です。
カバーとフロントパネルを取り外し、デッキメカを取り出します。
背面から分解していきます。最初にモータープレートです。キャプスタンベルトは型がついていますので、後ほど交換します。
リールユニットのパネルを取り外すと、イジェクトシステムにアクセスすることができます。
イジェクトボタンと開閉レバーを結ぶリンケージを固定している箇所が破損しています。これは何度も経験しています。
しかし、今回は、もう一か所破損しています。リンケージで動くレバーがグラグラしています。
レバーを取り外します。
シャフトを固定している箇所が破損してます。これは接着剤での補修では強度的な問題があります。
破損したシャフトの真裏は、バックテンション用のレバーの支点部です。ビスで留められています。
そのビスを長いものに替え、裏側のシャフトごと固定します。ちょっとした加工が必要です。
もう片方の破損個所は、アルミ板のカバーを作成し、固定します。以上で破損個所の補修は完了です。
誤消去防止孔検出スイッチの接点を磨きます。
左右リールを脱着し、グリスアップします。
硬化したアイドラーゴムを交換します。
カウンターベルト（１）を交換します。
新しいキャプスタンベルトを掛けて組み立てます。
硬化変形しているモードベルトも交換します。
トレイの開閉状況を確認します。
トレイ開閉を検知するスイッチの接点を磨きます
メンテナンスの完了したメカを本体に戻して動作確認を行います。しかし、途中停止します。
正面側のカウンターベルト（２）を交換します。
再生はOKでしたが、録音ができません。テープポジション切り替えスイッチの接触不良です。
スイッチの隙間から接点復活剤を処置します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。
