TEAC製ダブルリバースデッキ、W-850Rの修理依頼をいただきました。
長期間使用しない間に故障してしまったということです。
デッキAです。再生はOK、巻き戻しOK、早送りは、ギーという音がしますが、リールが回りません。
デッキBです。再生はOK、早送り巻き戻しはガチャという反応はしますが、リールは回りません。
カバーを開けます。
デッキ2です。早送り巻き戻し用のプーリーのベルトが消失しています。内部を探すと、デッキ1の下側から見つかりました。
デッキ1はベルトは掛かっていますが、伸びています。
デッキ1のメカを降ろしました。
背面のモータープレートを取り外します。キャプスタンベルトは表面がスベスベになっています。このメカのように、キャプスタンの回転によってメカを駆動するタイプでは、ベルトスリップが起きやすいため交換が必要です。
回転部分にグリスアップし、2本のベルトを交換します。角ベルトが径45mm、平ベルトが径65mmです。
ピンチローラーとヘッドのクリーニングを行います。
デッキ2は、マイクユニットが取り付けられています。それを取り外して、デッキ1と同様にベルトを交換します。
メカを元に戻します。デッキ1は、正常に作動しましたが、デッキ2は挙動が不審です。
再度メカを降ろして分解し、パーツのチェックを行います。写真は、カムギヤでアイドラーを駆動するレバーですが、カムの動きを受け止める樹脂製のピンが欠けています。
ピンがあった箇所にドリルで穴を開け、ビスを埋め込みます。
ようやく正常に動くようになりました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整を行います。
サービス端子をショートさせると倍速再生になりますので、630Hz±1Hz程度に調整します。
デッキ2です。ノーマルスピード、
ハイスピードの順に合わせます。数値は上下しますので、630Hzが中心に振れるように合わせます。
ヘッドアジマスの調整を行います。デッキ1フォワード、
デッキ1リバース、
デッキ2フォワード、
デッキ2リバースです。
録再バランス調整を行います。デッキ2も同様です。
録音状況を耳で確認し、修理完了です。