SONY製4ヘッドDATデッキ、DTC-2000ESの修理依頼をいただきました。
3年ほど前に当店で整備した機体です。今回のご依頼は、「録音時にノイズが乗る」「トレイ開閉の不具合」「表示暴走」「ID-WRITEボタンが無反応になることがある」です。
トレイ開閉の不具合は、カセットホルダーに問題があるようです。
カバーを開けてメカを取り出します。
ホルダーの部品が傾いています。
取り付けビスの脱落が原因でしたので処置します。
メカを仮接続して動作確認を行います。手持ちのテープを再生するとノイズが発生します。
ただし、自己録再では問題ありません。ということは、
オシロを接続します。やはりテープパスがズレていました。普通は簡単に狂うことはありませんので、何か特別な事情があったのでしょうか?
調整後です。これでノイズは無くなりました。
ところが、オーナー様からお送りいただいた録音済みテープでは、音の途切れが発生します。ただし、再生を続けていると、途中から正常な状態になります。新品のテープということでしたが、長期保管されたテープでは、温度や湿度などの影響で、巻き始めにハブの段差が付いたり、ヨレが発生することがありますので、それが原因だったと推測されます。
メカのメンテナンスを行います。底部の基板を取り外します。
リングギヤに固着がないかなど、各部に異状が無いことを確認します。3年前に処置済みですので問題はありませでした。
消耗品のモードベルトとピンチローラーを交換します。
メカを再度本体に接続し、点検を続けます。表示暴走やボタンの反応については確認できませんでしたが、オーナー様のご意向により今回は処置を行うことになりました。
表示暴走は、操作スイッチの接触不良により、マイコンに入力される抵抗が過大になりオーバーフローするため発生します。
フロントパネルを取り外します。
関係するスイッチ18ケを交換します。
元通りに組み付け、すべてのボタンが正常に反応することを確認します。
以上修理完了です。