TEAC製3ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、C-3RXの修理依頼をいただきました。
新品で購入後、一度だけメーカー修理されたことがあるということです。
再生NG、早送り巻き戻しはかろうじて、というところです。
カバーを開けました。
デッキメカ本体に接続されているコネクタは、ヘッド以外には背面の2か所だけですので、脱着は比較的容易です。
メカを引き上げました。
メカ背面のモータープレートを取り外します。
キャプスタンベルトが加水分解で伸びきっていました。
フライホイールを外し、リールモーターユニットを取り出します。
アイドラーゴム2ケを交換します。外径は23mmです。以前、他の方が修理されたこの機種で、わずかに大きめのゴムリングが使用されたため動作不良になっていたものを修理したことがあります。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
化粧パネルを取り外します。
カウンターベルトを交換します。
硬化しているピンチローラーを交換します。
メカを元に戻して動作確認を行います。テープ走行は正常になりましたが、片チャンネルから音が出ません。
少し焦りましたが、スイッチの接触不良が原因でした。
スイッチに接点復活剤を処置します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内に収まっていることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
メーターのバランス調整を行います。
テープポジション別に録再バランス調整を行います。
最後の最後に新たな問題があることが判明しました。dbxをONにして録音すると、左チャンネルからかすかに「ガサガサ・・」というノイズが混じります。再生のみでは発生しませんので、dbxのエンコーダー回路の不具合です。
dbx基板です。手前2列がエンコーダー回路です。
今では入手できない変わったトランジスターが使用されています。また、ICの端子が酸化して黒ずんでいます。ノイズの原因を特定するためには、可能性のあるパーツを取り外してひとつひとつ点検しなければならず、かなりの時間と費用を伴うこともあります。
このことをオーナー様に意向を伺ったところ、「dbxを使用しての録音は行わない」とのことでしたので、今回の修理はここで終了となりました。
以上、TEAC C-3RXの修理完了です。