ビクターの2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、DD-5の修理依頼をいただきました。
不具合は3点ということです。
1点目、ダンパーが効かないため、トレイが急激に開きます。
2点目、写真は、315Hzの信号が記録されたテープを再生しているところですが、速度がかなり遅くなっています。
3点目は、再生直後によく停止するということでしたが、これは再現されませんでした。しかし、カウンターベルトスリップである可能性が高いと思われます。
カバーを開けます。トレイのダンパーは指差ししている箇所となります。
この円形のパーツがクラッチの役割を担っていて、トレイが開くときの衝撃を吸収します。中に低粘度のグリスが封入されていて、その摩擦力がダンパーとなりますが、グリス劣化で摩擦力が低下しています。
グリスは入手できませんので、脱着してスプリングを強化タイプに交換します。
いい感じになりましたが、内部温度が上がると元に戻ってしまいます。結局、衝撃を吸収するゴムバンドを取り付けることにしました。
メカを引き上げます。
カウンターベルトを交換します。
アイドラーゴムも交換します。
速度調整用の半固定抵抗は、ここの奥にあります。
調整します。速度は温度で変動しますので、10分ほど暖機運転した後に行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を耳で確認し、修理完了です。