SONY製DATデッキ、DTC-59ESJの修理依頼をいただきました。
数年前に中古購入されたという機器ですが、半年ほど前に突然動かなくなったということです。
テープが閉じ込められていますが、イジェクトボタンに反応がありません。
カバーを開けました。テープがローディングされた位置で停止しています。
メカを降ろしました。
通常は、メカ手前右側のギヤを回すとテープガイドが動くのですが、ギヤが回りません。
何とか閉じ込められたテープを取り出しました。
メカを裏返して基板とリールユニットを取り外します。
これは想定内ですが、テープガイドを駆動する白色のギヤを固定している留め具が脱落して、今にもギヤが外れそうになっています。
もう片方の黒色のギヤの留め具も簡単い外れてしまいました。
鋼製のEリングと置換します。
しかし、テープガイドが引っ掛かって動きません。
プラスチック製のガイドレールが経年劣化で割れて段差ができていますので、ヤスリで削ります。
スムーズに動くようになりました。
リールユニットです。
ギヤ類を脱着してシャフト部を清掃しグリスアップします。
左右リールを取り外します。グリスの硬化により内部のスプリングが固着していましたので、清掃後に再グリスします。
カセットホルダーを取り外します。
ピンチローラーは弾力がありますので、専用クリーナーで清掃します。
写真中央のテープ検出スイッチに接点復活剤を処置します。
ローディングベルトにひび割れが発生していますので交換します。
カセットホルダーの可動部にシリコングリスを処置します。
テープをセットしましたが、音が出ません。
クリーニングテープを長めに走らせて、復旧しました。
LONGモードでもノイズは発生しませんが、テープパスが僅かに狂っています。しかし、安易に調整すると、オーナー様の所有するテープ再生時にノイズが発生する恐れがあります。オーナー様に確認したところ、これまで特に不都合が無かったということでした。
閉じ込められていたオーナー様のテープ再生に問題はありませんでしたので、このままにしておきます。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。