SONY製4ヘッドDATデッキ、DTC-1500ESの修理依頼をいただきました。
「テープを巻き込む」「走行不可」という状態ということです。
トレイ開閉はOKですのでテープをセットします。ところが、テープがセットされたときの「カチ」というリールユニットのソレノイドが動作する音がしません。ただし、テープはローディングされているようです。しかし、テープ走行はできません。
リールが回らないため、テープが引き出されたままです。
リッドを外して、リールを指で回してみます。案の定、固着していました。これが原因と思いましたが、処置を行っても動作しませんでしたので、残念ながらほかにも原因があるようです。
カバーを開けます。
ソレノイドをコントロールしているのは、このドライバ基板です。基板上の電解コンデンサーは過去にすべて交換されたようで、赤色のマーキングがされていました。しかし、いくつかに液漏れが見られます。15年ほど前に修理歴があるということでしたので、再度液漏れしたと思われます。
基板を取り出しました。青色の線は、おそらく過去に液漏れで基板が傷んだためにバイパス処置をしたものと思われます。
液漏れしている電解コンデンサーを取り外しました。楊枝の先端部のスルーホールが液漏れで腐食し絶縁しています。
新しいコンデンサーを取り付け、バイパスラインを設けます。
これでテープ走行になりました。ただし、ノイズ混じりです。
メカが固着してテープガイドが所定の位置の手前で止まっていることが原因ですので、分解整備が必要です。
再度基板を取り外し、残りの電解コンデンサーを交換します。
デジタル基板も過去に電解コンデンサーを交換されたようですが、すべて交換します。
メカを降ろして分解を進めます。
リングギヤに固着が見られます。
モーターやギヤ類を取り外します。
銀色のパーツが固着しています。CRCで古いグリスを溶かし、注油します。
可動部がスムーズに動くようになりました。
モードベルトを交換します。
リールユニットです。ブレーキが効きません。
ブレーキパッドが剥がれてリールに貼り付いています。
リールユニットを分解します。
パッドを張り替えます。
カセットホルダーを取り外します。
リール斜め下の白色のパーツはカートリッジの検出スイッチです。接触不良が起きやすい箇所ですので、接点復活剤を処置します。
ピンチローラーが硬化していないことを確認します。
ヘッドを痛めるスポンジ製のヘッドクリーナーは既に消失しています。アームは無用の長物となりましたので撤去します。また、回転ドラム表面が侵されていないことを確認します。
メカを仮接続して動作確認を行います。
ここでメモリ用の電池交換のリクエストがありました。基板に半田直付けのため、再度基板を脱着してホルダーを取り付け交換を行います。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。