TEAC製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、V-9000の修理依頼をいただきました。
過去に何度かベルト類を交換されたとのことですが、このところ再生ができないことがあるということです。
電源を入れると、モーターの回転する耳障りな音が鳴り響きます。また、再生ボタンを押したときの「ギー」という音も気になります。
カバーを開けました。
異音の発生源のひとつは、キャプスタンモーターでした。軸受け部のオイル切れと思われますので、脱着してシャフト部に注油します。
メカを降ろします。
ヘッドの上下などを行うカムモーターユニットです。再生ボタンを押した時の異音は、このモーターが原因です。また、再生できないのは、ベルトがスリップしていたためです。
ベルトがスリップしていた原因は、ベルトが緩いということと、このプーリーのシャフト部のグリスが固着気味だったことです。
モーターを同等品と交換します。
プーリーのシャフト部を清掃しグリスアップします。ベルトも少しきつめのものと交換します。
モータープレートを取り外します。キャプスタンベルトは少し伸びています。
支障となるパーツを取り外して、リールユニットを取り出します。
左右リールを脱着してグリスアップします。
アイドラーゴムを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
酸化して黒ずんでいるオートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
ピンチローラー交換のリクエストを頂いていましたが、測定してみると、左9.3*9*1.5mm右11*9*1.5mmというサイズでした。これは入手できませんので、
専用クリーナーS-721Hでクリーニングします。
メカを元に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。