ナカミチの581です。
突然、音が出なくなったということです。また、巻き戻し等のトルク不足という不具合を抱えています。
再生を開始しました。最初の一瞬だけ音がでますが、その後は無音です。また、再生はかろうじてテープ走行可能ですが、早送り巻き戻しはアイドラーゴムがスリップしてNGです。
カバーを開けます。
とりあえずメカの整備は後回しにして、音が出ない原因を突き止めなければなりません。ただし、録音操作ではヘッドが上がらないなど動作が不安定なため、ひとまずモードベルト交換のみを行います。
サイン波が記録されたテープを再生すると、「ウワンウワン・・・」と発振します。初めて経験する症状です。
回路図を見ながら、再生ヘッドから出力された信号をオシロスコープで追っていきます。すると、PB-AMPの出力までは正常でした。しかし、その後のドルビーICの入り口では信号が途絶えます。何かほかの回路が故障し邪魔をしているということになります。
怪しいと思われるトランジスタを点検したり、電解コンデンサーを交換したりしましたが、まったく改善されません。回路図とにらめっこしながら、ほぼ丸一日以上点検を続けましたが、夕方になる頃には心が折れてしまいましたので、作業を中断し、翌日頭をリフレッシュして再チャレンジすることにしました。
翌日になりました。点検を再開します。
これは録音と再生を切り替えるスイッチですが、ここの接触を点検しているときに、誤ってテスト用のテープが上書きされてしまいました。
それを回避するために、録音ヘッドと消去ヘッドのコネクタを基板から切り離しました。そのときのことです。消去ヘッドを引き抜いたときに、「ボッ」という音がOUTPUTから出力されました。通常、そういうことはあり得ませんので、消去ヘッドの点検を行いました。すると、短絡(ショート)状態になっていることがわかりました。
コネクタが抜けたまま、テープをセットすると、無事再生音が出力されました。ヘッドがショートして再生回路に悪さをしていたようです。ただし、ヘッドの替えははないため、再生専用機となってしまいます。そのことをオーナー様にお知らせし、このままメカのメンテナンスに着手することになりました。
フロントパネルを取り外し、メカを取り出します。
背面から分解していきます。
ようやくリールユニットにたどり着きました。
左右リールを脱着してグリスアップします。
ゴムリングが水色なのが最初から気になっていましたが、元々のゴムリングが硬化したため、何かを上から貼っていたようです。
ゴムリングを交換します。
内部接点を磨きます。
カウンターベルトは3本掛けになっていました。丁度良いサイズがなくて工夫したようです。もちろん適正なサイズのものと交換します。
新しいキャプスタンベルトを掛けて組み立てます。
リールベルトを交換します。
元通りに組み付けて動作確認を行います。走行が安定したため、音質も明らかに改善されました。
テープ速度の調整を行います。
出力バランスの調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
以上修理完了です。