AKAI社製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、GX-9の修理依頼をいただきました。
再生が途中停止するということです。
再生を開始しました。テープの序盤では停止しませんが、終盤に近付くと停止します。ただし、早送りや巻き戻しは快調に動作します。
動作を観察すると、右側のリールの回転が停止することが原因ということがわかりました。リールモーターの故障です。この機器に搭載されているモーターでは2回目の経験です。
カバーを開けてメカを取り出しました。
分解を進めます。カセットホルダー内蔵の樹脂製スプリングに変形はありません。
ピンチローラーの硬化が見られますが、メカの固着はありません。
ヘッド周りを分解します。一部Eリングが欠落していましたが、これまで扱ってきたGXモデルの中でもかなり良好なメンテナンス状態です。
硬化したピンチローラーを交換します。
リールとアイドラーを取り外します。
バックテンション用のパッドは対策品に交換済みです。
アイドラーゴムを交換します。
ゴムリングが接する面を脱脂します。
リールモーターユニットを交換します。
キャプスタンモーター基板を取り外します。
ベルトの当たり面は綺麗です。
ただし、ベルトの品質は良くありません。
カムモーターユニットのベルトを交換します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカを元に戻して動作確認を行います。モーターの回転が低速になるテープ終盤を重点的にテストします。
ミラーカセットを用いてテープパスの調整を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を耳で確認し、修理完了です。