TEAC製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、V-8030Sです。
再生が途中停止するということです。他店では「センサー故障のため修理不可」と診断されたということです。
お客様から不具合の状況を詳しくお聞きすると、再生開始後すぐに停止する場合と、2~3分持つこともあるということでしたので、センサー故障ではなく、モーター故障(内部接点の接触不良)が疑われます。
動作確認を行います。再生を開始すると、メーターが一旦振り切って、その後メーターがブラックアウトし停止します。停止した後はメーターは元通り点灯します。モーターの接触不良でメーターがブラックアウトすることはありませんので、他に接触不良になっている箇所があります。
カバーを開けました。基板に接続されていないコネクタが宙ぶらりんになっています。以前修理された方のミスです。
正規の位置に戻します。これで再生開始直後のメーター振り切りは解消されました。
このメカで接触不良といえば、このコントロールユニットのリーフスイッチが怪しいところです。
作業はしにくいのですが、接点部分に紙やすりを差し込み前後に動かします。
不具合はとりあえず解消されました。正式にメカを降ろしてメンテナンスを行います。
フロントの化粧パネルを取り外し、フロントパネルを少し前方に動かすとメカを取り出すことができます。
ハウジング内の化粧パネルを取り外します。
右側リールのナイロンワッシャーがEリングに替えられています。紛失してやむを得ずといったところでしょうか。
リールとアイドラーを取り外します。
背面のコントロールモーターユニットを取り外します。
酸化して黒くなっている接点を磨きます。
リールモーターとコントロールモーターに直接電圧を印加し、接触改善のために数時間ほど空転させます。
バックテンションベルトを交換します。
フライホイールを取り外し、シャフト部に注油します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
ピンチローラーとヘッドをクリーニングします。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
メカを元に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が適正であることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後の録再バランスを点検します。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を耳で確認し、修理完了です。