SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K333ESJの修理依頼をいただきました。
少し前に中古入手された機器ですが、いくつか不具合が見られるということです。
1)ストップボタンを押すと巻き戻される時がある
2)左チャンネルの録音レベルが小さい(目盛りひとつほど)
3)再生中にモニタースイッチを「ソース」に切り替えると、ライン出力に「ブー」と「ビー」の中間のようなノイズが出る
4)機器を受け取った直後、ドルビーSを入れて録音したときに左チャンネルが録音できなかった
以上ですが、1)はスイッチの接触不良、2)は調整で対応可ですので、3)と4)の確認を行います。
ブランクテープを再生し、モニタースイッチを切り替えます。何度か繰り返しましたが症状は再現されませんので、使用環境の影響ということが疑われます。
録音を試します。ドルビーのスイッチを切り替えると、左CHのレベルが低くなることがあります。しかし、スイッチを何度か切り替えていると、正常に戻ります。
原因は、ドルビーを切り替えるリレーの接触不良と思われますが、型番で検索してもまったく情報がありませんので、代替品も含め入手できません。ただし、何度か切り替え操作を行っているうちに症状は改善されましたので、当面の使用には差し支えないと思われます。
今回はリフレッシュメニューもご依頼いただきましたので、メカを降ろして分解を進めます。
劣化しているピンチローラーを交換します。
キャプスタンモーターユニットを引き抜きます。
モーターユニットを分解します。
基板面の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
モーターブロックを取り外します。
ベルトが掛かるプーリーを脱脂して、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外し分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
メカを元に戻して動作確認を行います。
フロントパネルを取り外します。
基板面のスイッチ13ケを交換します。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内にあることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
CDPを接続して録音状況を耳で確認し、修理完了です。