以前、当店でナカミチのカセットデッキを修理された方から、今回はPIONEER製DATデッキ、D-07の修理依頼をいただきました。
10年ほど前に中古購入された機器ですが、ほどなくして不具合が発生したということです。
ディスプレイの照度がかなり落ちています。
イジェクトを押すと、開こうとしますが、なかなかトレイが出てきません。
カバーを開けました。
以前、RFユニットのタンタルコンデンサー故障が原因でディスプレイが点灯しないということを経験してます。その時は、RFユニットを切り離すと点灯しましたが、今回は違いました。
回路図を確認し、電源の各部電圧を測定します。すると、ディスプレイ基板に供給されている31Vラインが死んでいることがわかりました。
その回路のヒューズ抵抗が絶縁していましたので交換します。
無事点灯しました。
トレイが開きにくい件ですが、何点か要素があります。一つ目は、リッドの化粧パネルの浮きです。フロントパネルと干渉するためリッド自体が開きにくくなります。
隙間に接着剤を注入し、クリップで挟んで一晩待ちます。
メカを降ろします。
二点目は、プラスチックパーツ同士の擦れです。パーツを脱着してシリコングリスを塗布します。
三点目は、ベルトの劣化ですので交換します。今回はバンコードを使用します。
一晩経って、接着が完了しました。
一旦メカを戻して開閉確認を行います。
メカを再度降ろして、デッキメカ本体とカセコンユニットを分離します。
カセコンユニットのモーターです。普段出番の少ないモーターには、直接電圧を印加して空転させ、内部接点の接触改善を図ります。
デッキメカを裏返したところです。
ロータリーエンコーダーを取り外して分解し、汚れた内部接点をケアします。
RFユニットの電解コンデンサーを交換します。
ピンチローラーを脱着し、表面を軽く研磨した後に専用クリーナーで清掃します。
指先のカートリッジの検出スイッチに接点復活剤を処置します。
こちらは可動式テープガイドを駆動するパワーモーターです。こちらも無負荷状態で数時間ほど空転させます。
メカを元に戻して動作確認を行います。ヘッドの回転音が少し大きいのが気になりますが、使用には差し支えありません。
録音状態にして入力の状況を確認しました。左CHのレベル低下が見られましたが、バランスVOLに接点復活剤を処置したところ改善されました。
ヘッドホンVOLに「バリッ」というガリが発生していましたので、こちらにも接点復活剤を処置します。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。