A&D製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、GX-Z7000の修理依頼をいただきました。
3年ほど前に故障品を購入し、そのままの状態で現在に至るということです。少し気になったのは、持ち運び中に、内部から「カランカラン」と何かが転がっている音が聞こえたことです。
オーナー様がカバーを開けて見つけたという、切れたベルトを同梱いただきました。
電源を入れると、けたたましいモーター音が鳴り続けます。
カバーを開けました。
フロントパネルを取り外すと、隅に、ナットが転がっていました。これが気になっていた音の正体ですが、見たことのある部品です。
リッド(トレイ蓋)の裏側です。
アクリル板を固定しているナットですので元に戻します。
メカを取り出して分解を進めます。
ここで、カセットホルダーの破損が見つかりました。
ガイドピンが折れていましたので、3mmのビスを流用して補修します。
カセットホルダー内蔵の樹脂製スプリング(カセットを押さえ付けるためのものです)が経年により変形しています。
脱着して加熱整形します。
機能が復旧しました。
ピンチローラーアームが固着しています。
ヘッド周りの可動パーツを分解し、古いグリスを除去後に再グリスします。
硬化しているピンチローラーを交換します。
左右リールとアイドラーを取り外します。
バックテンション用のブレーキパッドが脱落しそうでしたので、張り替えます。
硬化したアイドラーゴムを交換します。
アイドラーゴムが接する面を脱脂します。
背面の基板を取り外します。
キャプスタンベルトがかなり汚れています。後ほど交換します。
ベルトの当たり面にゴムカスが付着してザラザラになっていますので、研磨清掃します。
異音を発していたカムモーターです。
ユニットごと交換します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
本体に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を合わせます。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。