以前からお取引いただいている方から、新たなご依頼をいただきました。
ビクターの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V731です。不具合の状況ですが、再生NGとのことです。また、他店で早送り巻き戻し用のギヤを交換したものの、異音が発生するということです。
電源を入れると、数秒間、「ガラガラ・・」という壊れたような音が鳴ります。
再生を開始すると、ヘッドは上がりますが、テープ走行しないため、2秒ほどでヘッドが下がります。
早送りは不動、巻き戻しは、「ガラガラ・・」といいながら動作します。
カバーを開けてメカを取り出します。
トレイユニットとメカ本体を切り離します。
モーターユニットを取り外します。
これが他店で交換したというギヤですが、径も歯数も異なるため、異音や動作不良が起きていました。右写真は交換後です。
もう片方のギヤも予防のため交換します。
アイドラーやピンチローラーを清掃します。
メカと本体の間にアースラインを増設します。
本体に戻して動作確認を行います。早送り巻き戻しは快調になりましたが、再生を開始してもテープ走行しません。
ここでようやく、キャプスタンモーターが回転しないことに気がつきました。電源の電圧を測定すると、本来12Vのところ、2V程度しかありません。電源が故障しています。
電源&コントロール基板を取り外します。回路図はありませんので、面倒な故障には対応できません。
怪しげなトランジスタを点検します。一発で引き当てました。
2SC2001というトランジスタです。よくよく見ると、ひび割れしています。早速発注します。
4日かかりましたが、到着しました。
故障トランジスタがあった箇所には、焦げたような跡があります。何があったのでしょうか?
今度はどうでしょうか?・・・電源は復旧したはずですが動きません。モーター側に問題があるのでしょうか?
モーターのプーリーを指でアシストすると、回転が始まり、再生可能になりました。しかし、速度がかなり遅く、また、一旦電源を切ると、自ら動き出すことができません。モーターの故障です。
再度メカを降ろします。このモーターが故障しています。かなり熱を持っています。
手持ちのスペア品と交換します。ついでにベルトも交換します。
ようやく正常に戻りました。今回の故障の原因ですが、最初にモーターが不調になり回転できなくなって、それによって電源に負荷が掛かりトランジスタが加熱し破壊したと考えられます。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を合わせます。
再生ヘッドのアジマスの調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。