ナカミチのLX-3です。
20年ほど前に中古整備品として購入された機器ということです。
1年ほど前は動作していたということですが、現状はヘッドが上がらず再生不可状態です。それ以外では、音の籠りや消去不良があったということです。また、写真では点灯していますが、照明のランプが点いたり消えたりします。
カバーを開けました。
カムギヤを手動で回しましたが、ヘッドは上がるものの、ピンチローラーアームが固着して動きません。
フロントパネルと底板を取り外し、メカを取り出します。
カセットホルダーを取り外しました。ここで、ヘッドが大幅に傾いていることに気がつきました。音の籠りや消去不良はこれが原因だった可能性があります。
状況から、人為的なものと思われますが、以前修理された際などに何があったのでしょうか?このナカミチのサイレントメカで、ヘッドの傾き調整とピンチローラーアーム脱着の両方を同時に作業するということは、簡単なことではありません。
ヘッドブロックを取り外します。
作業に支障となるテープガイドとピンチローラーを取り外します。このときに、左右アームの取り付け位置をノギス等で測定しておきます。
プーラーを用いて、アームを固定している留め具を引き抜きます。
固着しているシャフト部を加熱しながら、慎重にアームを引き抜きます。古いグリスを拭き取って、事前に測定してあった位置に組み付けます。写真撮影を失念しましたが、ミラーカセットを用いて、テープのセンター位置を走行するよう、傾いていたヘッドのおおむねの位置を調整します。微調整は実際に録音や再生を行いながら行います。
背面から分解していきます。
リールを取り外し、シャフト部にグリスアップします。
アイドラーゴムを交換します。
誤消去防止孔検知スイッチの接点を磨きます。
新しいキャプスタンベルトとモードベルトを掛けて組み立てます。
照明のランプがとうとう切れてしまいました。
LED化します。
動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
ヘッドの位置とアジマスを調整します。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認します。ナカミチでは、ドルビー基板のコンデンサー劣化によりノイズが発生することがありますので、問題が無いことを確認します。
以上修理完了です。